河口湖町
(見どころ・文化財)

  1. 船津胎内樹型(船津6603)
    富士山ろくに点在する溶岩樹型の1つ。剣丸尾溶岩流上にあり、内部の天井から流れ落ちたいくつもの溶岩の筋の模様が母の胎内に似ていることから胎内樹型と呼ばれる。1929年、国天然記念物に指定された。最深部は約20mで、船津胎内神社として信仰の対象にもなっている。
  2. 世界最長の溶岩樹型(船津)
    総延長199.6mで世界最長の複合型溶岩樹型。最も大きい開口部の長径は約1.4m、短径が約1.1mで洞窟(くつ)状。縦穴1本横穴34本の溶岩樹型が横に連なった複合型溶岩樹型で、10世紀前半の富士山噴火の際に流れ出た剣丸尾溶岩流でできたとみられる。横穴では五重に重なり合った部分もあるなど、樹木が複雑に絡み合ってできたとみられている。日本洞窟学会火山洞窟学部の調査で97年6月に発見された。
  3. 産屋ケ崎・文学の碑群(河口、浅川)
    河口湖出身の作家中村星湖、写真家岡田紅陽、県出身の日本画家望月春江、俳人松尾芭蕉などの文学碑、句碑などが並ぶ。星湖の碑は黒御影石の石板に小説「少年行」の最初の一節「熔岩(ラバ)のくずれの富士の裾は、じつに、広漠たる眺めである 星湖」と刻まれている。また、芭蕉の句碑には「雲霧の暫時百景をつくしけり」の句が彫られている。紅陽の碑は富士山を撮り続けた紅陽の功績をたたえるブロンズ像を組み込んだ碑。春江の碑は筆塚として「筆」の文字が刻まれており、画家や書家らが使い古された筆を供養している。
  4. 太宰治碑(船津)
    太宰治の没後50年を記念し河口湖町が天上山に建立、97年6月に除幕した。天上山が太宰の短編集の中でも最高傑作と評される「お伽草子」の一編「カチカチ山」のモデルになったことにちなんで建てられた。安山岩でできた碑には「カチカチ山」に登場するタヌキのセリフ「惚(ほ)れたが悪いか」が直筆の文字を一つひとつ集めて刻まれ、礎石には太宰の生家である「斜陽館」のレンガと太宰が幼少のころ遊んだ金木町の芦野公園の石を使った。
  5. 河口湖美術館(河口3170)
     0555-73-2829
    足立源一郎の洋画、岡田紅陽の写真、和田英作の油彩画、渥美芙峰の日本画など富士山を題材にした作品や富士山にゆかりのある作家らの作品を所蔵している。ほかに企画展も随時開催している。
  6. 久保田一竹美術館(河口2255)
     0555-76-8811
    室町時代の染め物「辻が花」を独自の研究によって「一竹辻が花」として現代によみがえらせた染織工芸家、久保田一竹さんの記念館として94年にオープン。ピラミッド型の本館には久保田さんのライフワークである連作「光響」をはじめ、富士をテーマにした作品が並ぶ。97年に完成した新館には久保田さんが長年にわたって収集してきた、「蜻蛉(とんぼ)玉」(色模様を施したガラス玉)やガラス工芸品などを展示している。
  7. 河口浅間神社・稚児の舞(河口1)
    神社の創建は865(貞観7)年。稚児の舞は毎年4月25日の例大祭、7月28日の太々御神楽祭の際に河口浅間神社に奉納される伝統芸能で、長年その形を変えることなく引き継がれているという。氏子の中から選ばれた7-11歳前後の童女が舞を披露。4月には御幣の舞、扇の舞、剣の舞、7月にはこれに八方の舞、宮めぐりの舞を加えた5種類の舞を奉納する。県無形文化財に指定されている。また、神社境内の七本杉は巨樹が1カ所に集中する珍しいケースとして58(昭和33)年、県が天然記念物に指定している。
  8. 天下茶屋、太宰治碑(河口2739)
     0555-76-6659
    現在の茶屋は83(昭和58)年に開店した。作家太宰治が38(昭和13)年9月から2カ月ほど滞在。そのころの体験を基にして「富嶽百景」を著し、その後も時折訪れたという。建物2階の富士山、河口湖を一望できる6畳間は記念館として、机や火鉢を置き、太宰が滞在した部屋を再現している。4月から翌年正月までは飲食もできる茶屋として営業している。約50b離れた場所には富嶽百景の一節「富士には月見草がよく似合ふ」を刻んだ碑が建つ。毎年、太宰の命日である「桜桃忌」(6月19日)に最も近い日曜日には、山梨桜桃忌が開かれ太宰ファンが訪れる。
  9. 大石紬(つむぎ)
     0555-76-7901
    伝統工芸館(大石267)大石紬は江戸時代から河口湖北岸の大石地区に伝わる手織紬で、その技法は地元の山畑で栽培した桑で蚕を育て、繭から糸をつくり、織り上げるというもの。館内では大石紬で使う織り機や織物を展示。織り機を使った大石紬の実演も行われている。ハーブ染め教室や手織教室も開かれている。