「白鳥が暮らす湖」
冬には北海道からも飛来

 優雅に泳ぐハクチョウの姿が富士を背にした湖に似合う。1968(昭和43)年、湖畔の別荘の住人がつくる「山中湖会」が山口県から6羽を取り寄せ、放したところ住み着いた。今年5月には3組のつがいから計14羽のひなが生まれた。70年からはクリスマスの前になると、北海道の尾袋沼からオオハクチョウが飛来するようになった。湖はさながらハクチョウのパラダイス。え付けされて人に慣れ、湖畔を訪れる人々から愛されている。 ※写真はこちらです


「日本の別荘地の草分け」
昭和初めに開発着手

 1927(昭和2)年ごろ、現在の富士急行が県と旭日丘の県有地の借地契約を結び開発に着手したのが別荘開発のはしりといわれ、歴史は村内の民宿、旅館などより古い。日本を代表する神奈川・箱根、長野・軽井沢と並び、別荘地の草分け的存在といえる。山中湖周辺にはそれ以前から東京大などの寮があり、避暑地としては利用されていたが、東海道に近く箱根、富士五湖を結ぶ周遊ルート上にあったことなどから、昭和初めごろからは観光地として次第に注目されるようになっていった。29年には初めて貸別荘が登場。太平洋戦争中は一時下火になったものの、戦後、55(昭和30)年の富士箱根伊豆国立公園の指定、59年の当時の皇太子のご成婚を機に広がったテニスブームなどを背景に別荘の数は増加した。67年には約12050戸だった別荘が、75年には2千戸を突破、94年には、約4千戸に達し、国内有数の別荘地といわれている。


文学の森(平野)
ゆかりの思想家徳富蘇峰(1863ー1957年)の徳富蘇峰館、村所蔵の資料を中心にした三島由紀夫(1925ー70年)の三島由紀夫文学館をメーンに、文学碑をぬって歩く自然散策路など総面積8haの文化拠点。蘇峰館は、1996年に蘇峰の孫敬太郎さんから寄贈された書簡など約1200点を展示、蘇峰と周辺の人々を学べる。三島文学館は、村が96年に購入した「豊饒の海」創作ノート20冊、原稿、遺品など約400点を展示。閲覧室や研究室も設け、三島文学の研究拠点になっている。またファンも多く訪れる。※徳富蘇峰館20・2633、
三島由紀夫文学館20・2655
(マップ:山中湖村(山中,平野))

日本画家・加倉井和夫氏(山中505)
国内を代表する日本画家。1919-95年。品格高い白を効果的に使い、詩情や清浄さを醸し出した作品群は「白の世界」と形容された。75年に村に移住。富士北ろくを「第2の故郷」として愛し、自然の中で画作に専念した。富士山ろくで制作した作品に「青苑」「春朧」などがある。90年に名誉村民の称号を贈られた。日展で特選、菊華賞、桂花賞を次々と受賞し、常務理事を務めた。日本芸術院会員。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

徳富蘇峰と旭日丘命名碑(平野)
蘇峰は熊本県出身の思想家で「民友社」の設立者。32年に湖畔に山荘「双宣荘」を建て、47年まで毎年夏を過ごした。代表著書「近代日本国民史」もここで執筆。山荘のある湖畔を「旭日丘」と名付けて愛した。弟の蘆花は作家。
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高浜虚子句碑(山中)
「ホトトギス雑詠選集」のために1937-57年まで毎年夏に山中湖を訪れていた高浜虚子(1874-1959年)は地元の俳人らとの交流もあった。碑は、宮下伝奇や柏木白雨ら地元の俳人たちでつくる新蕎麦(そば)会が中心となって34年に建立。除幕式には虚子自らも出席し、そばを打ち、桑の葉のてんぷらを食べたという。「選集を選みしよりの山の秋」と刻まれている。
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富安風生句碑(山中湖周辺)
高浜虚子没後のホトトギス派の最高峰となった富安風生(1885-1979年)。風生主宰の句誌「若葉」には県人も多数参加、風生はこうした俳人たちの指導に当たりながら自らも富士山の句を詠んだ。村内には山中湖簡易保険保養センター内、山中諏訪神社境内、ホテルマウント富士内、かじや荘内、寿徳寺内、撫岳荘裏、名古屋相互銀行寮庭の7カ所に句碑がある。山中諏訪神社境内には「女とは 母とハ 安産まつりかな」と、寿徳寺内には「赤富士に露 滂沱たる 四辺かな」の句碑がある。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

三浦環の墓(平野147)
オペラ「お蝶夫人」を世界中で2千回にわたり公演した国際的オペラ歌手・三浦環(1884-1946年)は、43(昭和18)年に母と一緒に山中湖へ疎開し、晩年を過ごした。墓碑には「うたひめは 強き愛国心をもたざれば 真の芸術家となりえまじ」という自筆の歌が刻まれている。近くには88年に建てられた記念碑もある。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

山中明神安産祭り(山中)
山中諏訪神社の秋の例祭で9月4日に宵祭り、5日に本祭りが行われる。神社の祭神豊玉姫命(とよたまひめのみこと)が、子育てや安産の神であることから安産祭りとしても知られ、妊婦が御輿(みこし)を担ぐとご利益があるといわれている。宵祭りには、御輿への御霊(みたま)うつしが行われ、お旅所までの村内を練り歩く。本祭りには再びお旅所から神社までを御輿が歩き、白足袋を履いた妊婦や生まれて間もない子を持つ女性らが、ご利益を願って御輿にすがりつこうとする光景が見られる。
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寿徳寺の紙本著色星曼荼羅(まんだら)(平野147)
掛幅装で本紙は縦112cm、横87cm。内院、第2、3院、外院の月輪中に計70体の尊体が配置されている。細部の表現が繊細で優れており、桃山前期の作と推定される。1842(天保13)年に補修などをしたという墨書がある。寺は臨済宗。鎌倉時代に高僧、美山玄誉禅師が開き、1561(永禄4)年に武田家の祈願寺として加護を受けた。県文化財。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

山中湖高村美術館(山中208)
「クラシックカー」「日本画」「アールヌーボー」の3つのコレクションが柱。クラシックカーでは29年製ロールスロイス・ファントムTセダンなど、アールヌーボーでは19世紀末のフランスのガラス工芸家エミール・ガレやドーム兄弟のガラス工芸品、日本画は横山大観や川合玉堂らの作品を展示している。企画展も随時開いている。※0555・62・0001。
(マップ:山中湖村(山中,平野)) ※写真はこちらです

山中湖美術館(平野493-81)
建築家大杉喜彦さんが設計したコンクリート打ちっ放しのモダンな外観のミュージアム。ロートレック、ピカソ、シャガールなど世界の巨匠から、恩地孝四郎、長谷川潔ら国内作家の版画作品まで多彩なコレクションを持つ。企画展も盛ん。※62・0793。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

石割神社(平野)
石割山の8合目(1070m)に建つ。主祭神は天の岩戸を開いた天夫手力男命(あめのたじからおのみこと)。神社の近くに漢字の「石」の字に割れた巨大な岩がある。無理やり引き裂いたような不思議な割れ方。岩のすき間を3回くぐると無病息災のご利益があるという。割れ目からの霊水は眼病や皮膚病に効くとされる。周辺では蜃気楼(しんきろう)が見られることも。例祭は4月9日。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

山中口留番所跡(山中)
篭坂峠を越えて甲斐、相模、駿河を結んだ、かつての塩入れ道の出入りを取り締まっていた番所の名残。江戸時代には関所として代々関主が世襲、関門の敷石や沓(くつ)石などが今も残っている。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

フジマリモ生息地(平野)
マリモはシオグサ科マリモ属の糸状線藻で、北海道など高緯度寒冷地帯に生息する。山中湖では56年、山中小の理科の授業で発見され、長崎大の岡田喜一教授が調査。北海道阿寒湖のマリモの変種「フジマリモ」と名付けられた。県内では初の発見。水深3―5mで富士山からのわき水により回転して丸くなる。県天然記念物なので採取禁止。土産店で売っているのは養殖マリモ。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

ハリモミ純林(山中)
ハリモミはマツ科のトウヒ属で、高さ約30mの常緑針葉高木。葉の先が鋭くとがっていることからこの名がある。純林は山中湖北側の鷹丸尾溶岩流上に生育した原生林で、ハリモミ一種類が85%以上を占める純林が形成されることは珍しい。国天然記念物。60(昭和35)年以降、立ち枯れが目立ち始めており、国、県、村は97年に「ハリモミ純林保護管理協議会」を発足させ純林の再生に取り組んでいる。
(マップ:山中湖村(山中,平野))


リサイクルプラザ(平野506-296)
0996年に完成した廃棄物再生利用施設。敷地面積3400平方m。鉄、アルミ、瓶類を自動選別してから、プレスし、カレット化(細かく粉砕)して、有価物として再利用する。処理量は5時間で9t。隣接して可燃物処理施設がある。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

村ヨットハーバー(山中237-3)
86(昭和61)年の第41回かいじ国体ヨット競技を機に、その翌年、村が開設したヨット競技場。桟橋、ヨット係留場、ヨット置き場、管理棟を備える。各種ヨットレースで使われたり、地元小、中、高校生が有効活用。96年の第37回インターハイでは、ヨット選手権の会場となった。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

富士山と山中湖の映像サービス 
平野の湖畔に設置した定点カメラ「絶景くん」が、湖越しに広がる雄大な富士山の映像を5分おきに撮影し、村が開設しているホームページ内「サイバー写真館」でリアルタイムに公開している。朝日を浴びて輝く湖面、夕日が沈む富士山、雨や雪の湖などの美観を自宅にいながら楽しむことができる。(http://www.vill.yamanakako.yamanashi.jp/)
(マップ:山中湖村(山中,平野))

観光案内所(平野506-296)
村観光協会の職員2人が常駐し、村内の見どころ、宿泊施設、交通、イベントを案内。キャンプ場を紹介するパネル、観光施設が検索できるコンピューターも設置されている。建物は木造で周囲の景観にマッチ。土、日曜日もオープンしている。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

老人福祉センター(山中237-1)
村内のお年寄りやボランティアが集う中心的施設。平屋建て673平方mで、ホール、調理室、入浴施設などを備える。ホールは150畳の畳敷き。専用のじゅうたんを敷くと簡易ゲートボール場として使え、寒い時期の格好の練習場として役立つ。虚弱のお年寄りの機能回復訓練、健康相談なども行われる。
(マップ:山中湖村(山中,平野))


山中湖 
表面積は約6・67平方kで富士五湖最大。基準水位の標高は982mで最も高い。水深は約15m。春はヘラブナ、夏はブラックバス、秋口まではコイ釣りが楽しめるほか、冬はワカサギ釣りのボートでにぎわう。かつては湖が結氷しスケートやワカサギの穴釣りなどができたが、ここ数年は結氷が十分ではなくこうした光景も見ることができなくなっている。夏はウオータースポーツが盛んで、ウインドサーフィン、ヨット、水上スキーなどが湖を華やかに彩る。水上スキー、ウインドサーフィンはスクールも開かれている。また、レンタルボートや遊覧船による湖の周遊もできる。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

花の都公園(山中)
標高1000mの高原にある敷地面積30万平方mの花公園。パンジー、チューリップ、サルビア、ヒマワリ、コマチソウ、コスモス、マリーゴールドなどが咲き乱れる。この中に滝、せせらぎ水路、3連水車などがある「清流の里」、花の楽しみ方を学べる「フローラルドームふらら」などがある。「ラン園」はコチョウラン、カトレア、シンピジウムなどが1年中楽しめ、販売もしている。「親水公園」にはミズバショウなど湿原の花が咲く。疲れたら「花の都サービスセンター」へ。うどん、そばなど軽食、お土産に最適な花をアレンジした小物、オリジナルカレンダー、ポストカードなどを扱っている。 ※62・5587
(マップ:山中湖村(山中,平野)) ※写真はこちらです

山中湖ロードレース(山中)
毎年5月の最終日曜日に開催しており1998年で18回を数える。毎年県内外から1万2千人を超えるランナーが出場。山中湖中を発着点として湖畔を1周する14・3kとハーフマラソンの21・0975kの2つのコースで行われる。第17回は外国人や身障者も参加。ボランティアらが豚汁を作って選手をねぎらう光景も見られた。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

報湖祭(山中湖上)
富士五湖の夏祭りのトップを切って8月1日に開かれる。大正時代の後期に当時の東京帝国大(現東京大)の学生が湖畔の寮を訪れ、湖上で花火大会を行ったのが始まりといわれている。その後、夏の間、旭日丘地区を中心に各地の住民らが祭りに参加して次第に盛大なものになっていったという。33(昭和8)年、徳富蘇峰によって「報湖祭」と名付けられた。祭りは午前中の式典で始まり、ボードセーリング大会、ヨットレース大会などの水上スポーツの大会が開かれる。夕方には歌謡ショーなどが行われ、最後を締めくくる花火大会は山中、平野、旭日丘、長池の4カ所で同時に始まり、8千発もの花火が夜空に湖上に大輪の花を咲かせる。
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山中湖平野温泉「石割の湯」(平野1450)
石割山のふもとの源泉を活用した村営施設。県産のクリの木を使った2階建て、延べ床面積は約1100平方m。大浴場、源泉ぬる湯、うたせ湯、露天ぶろ、寝湯、サウナが楽しめる。2階の展望台からは雄大な富士山の姿が一望できる。泉質はPH10のアルカリ性単純温泉で、神経痛、筋肉痛などに効能がある。※20・3355。
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石割山(平野)
1413m。山梨百名山。都留、忍野の3市村を分ける。頂上からは富士山や山中湖のほか、晴れた日には神奈川県小田原市や相模湾まで眺望できる。石割神社の石段403段を越えてから山頂までのコースが急しゅんで険しい。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

村営山中湖キャンプ場(平野506-296)
総面積22・4ha。95年、県営から村営に移管した。管理棟や水道などが整備され、森林の中で快適なキャンピングを楽しめる。※62・0146。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

山中湖チャレンジカップテニス大会(平野)
平野旅館民宿組合、平野寮組合などが毎年10月の第3土、日曜日に開く大会。今年で14回目を迎える。全国から2千人の参加があり、男女別ダブルスでトーナメント戦を繰り広げる。余興で混合ダブルスの試合も。初日の夕方にはウエルカムパーティーが開かれ、テニス好き同士が楽しく交流を深める。※65・7070。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

ギャラリーアバルト自動車美術館(平野506-296)
イタリアの古き良き時代、50―60年代をしのばせるアバルト、フェラーリ、アルファロメオなどの名車を展示している。大理石の展示室がゴージャスな雰囲気を演出。※62・4884。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

森の中の絵本館(平野547-22)
1階は絵本の原画の展示コーナー。2階には約3千冊の絵本があり、閲覧室で自由に見ることができる。約200種類の絵本も販売する。入館料は大人400円、子供300円。※65・7202。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

サンタクロースミュージアム・クリスマスの森(平野506-133)
サンタクロースの伝説を一年中紹介している博物館。世界のサンタの人形、クリスマス以外の時期に暮らすサンタの部屋のほか、4つのブースで由来を説明している。隣接のショップではいつでもクリスマスグッズが買える。※62・9990。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

富士ゴルフコース(山中262-1)※62・1227。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

薫製工房倶楽部・古志路(平野508-375)※62・3187。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

手作り工房・どんぐりの木(平野570-22)※65・7081。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

陶芸工房ダ・ヴィンチ(山中248―1)※62・3919。
(マップ:山中湖村(山中,平野))

体験工房アントヴ(山中41―3)※62・6151。
(マップ:山中湖村(山中,平野))
 

テディベアワールドミュージアム(平野493ー111)※20・2800。

山中湖温泉「紅富士の湯」(山中865ー776)
富士山に最も近い温泉のひとつで、紅色に染まる朝の富士山が見事なことから名付けられた村営施設。かけ湯、かぶり湯、半身浴、全身浴、気泡浴、うたせ湯、外湯浴(露天風呂)など様々な入浴が楽しめる。湯質は「石割の湯」とほぼ同じ。 ※20・2701
(マップ:山中湖村(山中,平野))


山中湖観光協会(平野506-296)
全国有数のリゾート地である湖畔の観光情報を集約している。所属する宿泊施設の軒数はホテル9、ホテル旅館11、ペンション61、プチホテル5、キャンプ場6、貸別荘5、旅館民宿128と膨大。※62・3100。
(マップ:山中湖村(山中,平野))