岡田紅陽生誕100年記念誌
「富士こそわがいのち」
代表作や村民のスナップ掲載

 四季を通じた富士山の撮影ポイントが点在する村内には県内外から「忍野富士」を狙うカメラマンが多数訪れる。写真家岡田紅陽(1895-1972年)も富士山の撮影のため同村をはじめ、河口湖町、山中湖村をしばしば訪問。忍野村には1916(大正5)年に初めて訪れたといわれ、冬の間には村内の旅館や別荘に滞在し村民と親交を深めたという。村は紅陽の生誕100年を記念して97年に記念誌(B5判、164ページ)を作製。紅陽の代表作「神韻霊峰」「雪の水車」をはじめ村民とのスナップ写真など約100点を掲載している。


●忍野八海(忍草)
富士山の伏流水の湧(ゆう)水口の一つで国天然記念物。全国名水100選でもある。かつては宇津湖(忍野湖)という湖だったが、湧水口のみが池として残ったと考えられている。富士山の雪溶け水が地下の溶岩のすき間を通って数十年から100年もの歳月をかけて再び地表にわき出すといわれ、8つの池は「神の池」としてそれぞれに伝説が残っている。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

出口池 
面積は1467・7平方mで八海中最大。湧水量が減り枯渇していたが、最近になって再び水が戻ってきた。別名精進池。「清浄な霊水」と呼ばれ、富士登山をする行者や道者はこの水で汚れを払い登山したと伝わる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

お釜池 
24平方mで、八海中最も小さいが底は深い。昔池のほとりに住む娘が洗濯中、1匹の大ガエルに水中に引き込まれ行方不明となり、父と姉は池のほとりに住み娘のめい福を祈ったという。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

底抜池 
208平方mで、周辺にはモミの木などが茂る。池で洗い物をすると野菜や器が池に引きずり込まれ、池の底の穴を通ってお釜池に浮かぶといわれ、神様が池での洗い物を嫌っていると伝わる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

湧池 
152平方m。溶岩が露出した底に湧水に揺れる藻(も)などの水草が見られる。昔、富士山噴火の熱に苦しみ水を求めた人々の声が天地に広がると「私を信じ永久に敬うならば水を与えよう」という木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の声が聞こえ、溶岩の間からわき水が出て池になったという。
(マップ:忍野村(忍草,内野)) ※写真はこちらです

銚子(ちょうし)池 
79平方mで、池の形が銚子に似ている。昔、ある花嫁が祝言の席上のそそうを恥じ、銚子を抱いて池に身を投げて以来、池の底に美しい女性の姿が映るようになったという。縁結びの池ともいわれる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

濁池 
36平方mで川に隣接。元は澄んだ水だったが、みすぼらしい行者がこの地の地主に1杯の水を求めたが断られ、以来池の水は濁ってしまったと伝わる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

鏡池 
144平方mで、水面に逆さ富士の姿が映ることからこの名が付いた。池の水は善悪を見分けると伝えられ、争いごとがあると、これを治めるために当事者双方が水を浴びて身を清め祈願したといわれる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

菖蒲(しょうぶ)池 
281平方mだが、沼地化している。重い肺病の夫を助けるため妻が池の水を浴びて身を清め祈ると「池の菖蒲を夫の身に巻きなさい」とお告げがあり、夫が全快したという。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

忍草浅間神社・イチイの群集(忍草)
祭神の木花咲耶姫命などの3神像はいずれもヒノキの1本作り。県内最古の神像で県文化財。境内には社殿や仁王門を取り囲むようにイチイが群生。高さ20mに及ぶものもある。17本が県天然記念物に指定されている。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

忍草のツルマサキ(忍草) 
茎から気根を出し他の木や岩をはい登るツルマサキ。巨木で樹型が美しく珍しいことから県天然記念物に指定されている。
(マップ:忍野村(忍草,内野))


県水産技術センター忍野支所(忍草3098の1)
31(昭和6)年、ニジマスの飼育を目的とした県営忍野孵化(ふか)場として開設。その後変遷を重ね93年、県水産技術センター忍野支所としてオープン。イトウ、ニジマスなどサケ科の4属17種を飼育。バイオテクノロジー技術の開発や魚の飼育方法の指導、採卵、ふ化の魚苗生産などを行っている。※84・2029。
(マップ:忍野村(忍草,内野))


會田雄亮さん(忍草1672-2)陶芸家。會田雄亮研究所、忍野窯。※84・3365。(マップ:忍野村(忍草,内野))

松田富弥、百合子さん夫妻(忍草3432)ともに陶芸家。陶房松田。※84・2431。(マップ:忍野村(忍草,内野))


忍野そば(内野)
村は寒冷地でかつては水稲栽培が困難だったことから、低温に影響されにくいソバ栽培が盛んになった。村内のソバ畑は約17ha。忍野産のそば粉を使っためんは村内の製麺(めん)所や飲食店などで扱っている。ソバ畑では8月下旬から9月上旬にかけて白い花が満開となり、カメラマンでにぎわう。
(マップ:忍野村(忍草,内野))


二十曲峠(内野)
大出山、大平山、石割山(山梨百名山)を結ぶハイキングコースの起点、終点となっている。標高は1155m。頂上までの鹿留林道は峠の名の通り曲がり道が多いが車の通行も可能。峠から立ノ塚峠、杓子山(山梨百名山)、鹿留山などを歩くこともできる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

鐘山の滝(忍草)
富士吉田市との境付近の林の中にあり、別名「小佐野の滝」とも呼ばれる。水源は山中湖で村内を西へ流れやがて桂川となる。川の中央部に突起している溶岩が水の流れを左右に分け、二条の滝をつくっている。高低差は約10m。
(マップ:忍野村(忍草,内野)) ※写真はこちらです

ヒマワリ・コスモス畑(内野)
休耕田を活用した花畑で、8月中旬から下旬はヒマワリの黄色が、8月下旬からはコスモスのピンクや白色が一面に広がる。満開時には花畑から望む富士山を写真に収めようと多数のカメラマンでにぎわう。村は毎年、村内から撮影した写真を対象にした「富士忍野グランプリフォトコンテスト」を開催している。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

忍野八海祭り・八文字焼き(忍草)
忍野八海の守護神「八大竜王」をまつる祭り。八海近くの「はんの木林駐車場」での式典では宇津湖竜神太鼓も披露され、忍野小校庭では盆踊り大会も開かれる。祭りのメーンは八文字焼き。高座山に群生するカヤに「八」の文字の形に火を放ち、村民の無病息災と五穀豊じょうを祈願。花火も打ち上げられ夜空を焦がす。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

忍野温泉(忍草2887)
1924(大正13)年に創業した、富士北ろくでも歴史の古い温泉。男湯、女湯、家族ぶろの3つがあり、家族ぶろは体の痛みに効く薬草入り。3年前に水ぶろやサウナを備えたふろが新登場した。※0555・84・2014。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

渓流釣り(忍草)
桂川、新名庄川など忍野の清流にはヤマメ、ニジマス、ウグイなど25種もの魚が生息。忍草漁協はスポーツフィッシングの対象としてニジマスの放流に力を入れておりフライフィッシングの釣り客も多数訪れる。
(マップ:忍野村(忍草,内野))

さかな公園(忍草)
「県立富士湧水の里水族館」、村営の「森の学習館」「芝生公園」で構成し、総面積は1万4497平方m。水族館は2階建てで、階段を上り下りしながら各種の淡水魚が見られる二重回遊水槽がメーン。ほかに5つの水槽があり、イトウなど約40種、4000匹が泳ぐ。森の学習館は、工作や草木染めなどの体験コーナー、マルチビジョンを使った学習コーナーなどがある。芝生公園は広々としてリフレッシュに最適。 ※水族館20・5135、森の学習館84・7261
(マップ:忍野村(忍草,内野))